世界のトヨタ 育まれるリーダーシップとは

埼玉県立杉戸高等学校では、毎年新一年生向けにStart-Up Programという研修が行われます。昨日はそのプログラムの中の1つ、講演会を見学させていただきました。テーマはリーダーシップで、登壇されたのは、トヨタ自動車 Senior Fellow 大塚友美 氏でした。

世界のトヨタの女性役員とは、どんな方なのだろう、どんな功績が認められてその立場にまで上がられた方なのだろうと思っていたのですが、、、きっとあの場にいらっしゃった誰もが同じことを感じたことでしょう。大企業の女性役員とあらば、自信満々でキリッとした、いわゆる『バリキャリ』をイメージする人もいるかもしれませんが、実際は全く違いました。柔らかい空気感を漂わせ、その場を温かく包み込んでしまうような、とてもナチュラルで素敵な方でした。

リーダーと聞いて思い浮かぶ人は?なぜその人をリーダーだと思いますか?と、高校生に語りかけるところから始まった講演は、3つの柱を軸に、大塚氏ご自身の経験と生い立ちを交えて話されました。

①リーダーはなろうと思ってなるものではない
→フォロワーを導く人ではなく、振り返ると人がついてくる人
②リーダーは、スーパーマンである必要はない
→自信のない人こそ、よきリーダーになれる
→自分らしいリーダーシップのスタイルを見つけよう
③リーダーに必要な「たった一つのこと」
→自分以外の誰かのために行動すること

大塚氏は、元々あまり目立ったりズバ抜けて優秀、というわけでなく『普通』で、リーダーになりたい、という意識は全くなかったそうです。『リーダーは強い人』というイメージがあったので、プロジェクトを任された時、自分がリーダーになれるのか?と不安で、リーダーについての本を何冊も読んだのだとか。ところが、そのプロジェクトのコンセプトに惚れ込み、その実現のためにひたすら人の話を聞き、ひたすら動いていたら、気づいた時にはたくさんの人がついて来ていた。そして、「大塚さんがリーダーで良かった」と言われた時、こういうリーダーでも良かったんだ、と思われたそうです。

さらに、とても印象に残ったのが、『リーダーは他人をリードするのでなく、自分自身をリードする』という言葉でした。そして、その最初の一歩は、自分が心から実現したいと思える何かを見つけることだと。

大塚氏の言われるリーダーやリーダーシップのあり方は、誰かを力強く引っ張っていくというものでなく、自分ではない誰かのために、夢中になって取り組む姿に人は心を動かされ、意図せずともいつの間にか人がついてくる、というもので、「強いリーダーにとらわれなくていいんだよ。誰でもなれるんだよ」という、言葉にはしていない”メッセージ”がそこにはあったと思います。

講演が終わった時には、日本を代表するグローバル企業が唱えるリーダーシップと、私の考えるリーダーシップ論がとても近く、方向性が同じであったことに、安堵感と喜びを感じたのでした。

この貴重な講演会を体験した杉戸高校の新一年生は、現時点では、その価値をどれくらい理解できているのか分かりませんが、あれだけの人数がいる中で、挙手して発言できる生徒が何人もいたこと、そして、大塚氏からの問いかけに対し、生徒同士でディスカッションできていたことに、彼らの未来は明るい、と素直に思ったのでした。

素晴らしい機会を生徒たちにプレゼントされた杉戸高校、その実現に水面下で尽力されたものつくり大学、そして取材のために足を運ばれた埼玉新聞社、また、私に声をかけてくださった教育ジャーナリストの梅野弘之氏、皆さんに、心から感謝!!ありがとうございました。

遠かったけれど行って良かった・・・!!

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